ボートレースを行う競走水面は縦75m以上×横440m以上、水深1.5m以上で33000㎡以上と定められています。
東京ドームのグランドの2.5倍の広さです。
これだけ広い水面になるとドームなどで覆うことが難しく、風などの影響を受けやすくなります。
レース場の立地条件によって水質が海水・汽水・淡水があり、設置状態によってプール型水面・開放型水面に分けられます。
海水の開放型水面だと潮位の変化があり、それがレースに影響を与えます。
競走水面にはレースに必要な水上施設が設置されています。
スタートラインとゴールラインを表すセンターポール、周回時に使用するターンマークがあります。
水面に向かって右側にあるのが第1ターンマーク、左側が第2ターンマークです。
レースでは第1ターンマーク、第2ターンマークと順次周回していきます。
その他、スタートをするときの目安にする標識板、空中線などがあります。
第1ターンマークと第2ターンマークを結ぶ直線のスタンド寄りをホームストレッチ、対岸側をバックストレッチを呼んでいます。
レース中に故意にそのラインを超えると内線突破で失格になります。
大時計とセンターポールを結ぶ直線の2マーク側は「待機水面」と呼ばれており、選手がピットアウトしてからコース取り、スタートのときに使用する水面です。
スタートの前にそのラインを突破すると欠場扱いになります。
2マークの奥、もしくはスタンド側にピットがあり、ボートの発着に使用されます。
スタートライン
水の上だと風や流れなどでボートを固定することができません。
そのため「フライングスタート法」というボートレース独特のスタート方法を採用しています。
大時計が0秒を指してから1秒以内にスタートラインを通過すれば「スタートOK」というものです。
スタートラインを水上に描かくことができないので、水面から見て大時計の右角とセンターポールを結ぶラインがスタートライン・ゴールラインになります。
判定には電子スリットが採用されています。
ターンマークと小回り防止ブイ
第1ターンマーク・第2ターンマークは、赤と白で8分割で色分された円錐状のブイです。
1マーク・2マークと呼ぶことの方が多いようです。
1マークと2マークはセンターポールを基準にして、それぞれ150mの位置に設置されているので、1マークと2マークの距離は300mになります。
1周600mのレースコースを3周回するのが基本です。
ターンマークの材質はウレタン樹脂で加工されたFRPで、水上に浮いている高さは約95cm、台座の直径が約90cmです。
チェーンと重りによって水底に固定されています。
潮位の変化のあるところでは、ターンマークが上下するようになっており、レーサーがターンマークの視認に困ることはありません。
第2ターンマークからセンターポール寄り20mの位置にオレンジ色をした小さなブイがあります。
「小回り防止ブイ」という名称で、ピットアウトしてこれを通過してからコース取りをします。
空中線・標識板・ポール
ピットアウトしたレーサーは小回り防止ブイを回ってコース取りをします。
コース取りが決まったらスタートラインへスピードを上げて行きます。
大時計が0秒を指してから1秒以内にスタートライン通過しなければなりません。
先行有利な競技だけに、0秒に少しでも近いタイミングでスタートラインを通過したいものです。
そのためにレーサーがやることは「定時定点」です。
目標物を決めておいて、そこを大時計が0秒を指す何秒前に通過すればせ良いか決めておくのです。
その目標物になるのが空中線・標識板・ポールです。
空中線は、スタートラインは80mに白色と青色の小さな三角形の旗が並んでいます。
40mと45mには白色と黄色の三角形の旗です。
5m手前には白色と赤色の三角形の旗です。
スタートラインの手前85mの位置にある空中線は、スタート4秒前に通過するときの目標物になるものです。
4秒よりも早く通過すると、大時計が0秒を指す前にスタートラインを通過することになるのでここで減速します。
40m-45mは2秒前通過の目標物です。
ボートレースの最高速度は80km/時なので、秒速に換算すると20mになります。
100mポール・150m・85m・45m・5mの標識板もすべて正確なスタートを決めるためのものです。
大時計
大時計は遠くからでも視認できるように直径が3mを超える大きなもので、白色の1分針と黄色の12秒針の二重針構造です。
2分前に2分針が動き始め、1分40秒前にピットアウトです。
選手はコース取りをしながらつねに大時計の針を注視しています。
15秒前になると2分針が遮蔽板の後ろに隠れ、黄色い針の12秒針が早いスピードで動き始めます。
スタートライン手前200mあたりから加速していく選手は12秒前、1コースからスタートする選手は7秒前を目安にレバーを握っていきます。
目標物を通過するときに大時計の針の位置を確認し、スピードを調整しながらスタートラインに向かいます。
0秒よりも早くスタートラインを通過すると「フライング」になり、欠場扱いになります。
その選手に該当した舟券は返還され、レーサーはペナルティーを課せられます。
フライングをしないようにスピードを調節することを「アジャスト」と呼んでいます。